バルダーズゲート3が素晴らしかったのでオススメポイントを書く

年末からプレイしていたバルダーズゲート3をようやくクリアした。大体130〜140時間ぐらいかかったと思う。最近のゲーム体験としては、トップクラスに入る神ゲーだった。ここ数年だとOuter Wildsに匹敵するレベル。ゲーム史に残るRPGと言っても過言ではない。

ただこの作品は、とにかく序盤がハードなのと自由度が異常なので、慣れない人にはかなり取っ付き辛いらしい。それを差し置いてもオススメしたいので、どういうところがオススメなのかと何がハードなのかをちょっと書いてみようと思う。

前提として、バルダーズゲートシリーズはTRPGのダンジョンズ&ドラゴンズの世界観に基いたゲームで、ちなみに自分は元々D&Dは存在ぐらいは知っていたしTRPGについてはある程度の知識と経験がある程度である。

結論から書いておくと「自由度」と「分かりやすさ・親切さ」のトレードオフを受け入れられるかどうかが、このゲームの肝だと思う。

TRPG感の再現

流石にコンピューターゲームなので限界はあるのだが、会話や行動の選択に対してとにかく自由度が異常に高いし、その場の会話だけでなくちゃんと続きの展開や有利不利に影響する。そして場合に依っては取得している技能によってダイス判定が入る。得意なことはキャラごとに違うので、仲間と旅をすることにちゃんと意味が感じられる。会話の流れ次第では良い人間にもなれるし、めちゃくちゃ嫌な奴にもなれる。ちゃんと一貫したキャラ設定を想像してプレイしていると没入感が高まってとても良い体験が得られる。この辺りのロールプレイ感はTRPGの良さを上手く活かせてるなあと感じる。

悪事的なことだと、めちゃくちゃ高値を吹っかけてくるキャラの話を一回断わった後で部屋に忍び込んだりスリで入手したアイテムで突破したり、商人にワイロを渡して評価を上げた後にスリで金を取り戻すとか悪辣なこともできる。こういう自由度に対して頭を捻るのが楽しい。ペテンにかけて信用させてから後ろから刺すとか。

一方で、分かり易い解決策は必ずしも楽ではないし、報酬が良いとも限らないので、効率プレイ大好きみたいな人には余り楽しくないかもしれない。

探索とクエスト展開のバリエーション

バルダーズゲート3は昨今のオープンワールドRPGの様な探索とサブクエスト受注みたいな流れはあるのだが、その手のゲームの様にマップ上に依頼者のマーカーが出てたりとかは一切無い。町の人と喋ってたらいきなり問題に巻き込まれたり、頼みごとをされたりするし、その辺に落ちてるメモからクエストが開始することが多々ある。(目的地が明確な時はマーカーが出る)

なので、クエストラインの途中から合流したり、いきなり解決に近いところから始まったりするし、あるクエストが別クエストの目的と最終的に重なるケースもある。なので開始時期がズレるとイベントそのものが消失したり、報酬を貰い損ねたりする。

これも自由度とある意味で不親切な所のトレードオフで、自分としては世界を探索してそこに関わっている感じが強く感じられるので好きだったが、この点に関してはクエスト発生ポイントに関しては攻略情報を確認して、後は流れに任せるみたいなやり方がバランスよく楽しめるのかなーと思う。

めちゃくちゃ長い期間継続するクエストとか、探し物をするクエストは実際何も攻略情報が無いと、いつまでかかっても終わらないみたいな状態になるので、諦めてある程度割り切った方がいい。

とにかく選択を迫られたり取り返しがつかないことが多いので、いやそういうつもりじゃなかったとか、ここでそのダイス運は勘弁してくれ、というのを避けるために手癖でクイックセーブする様にしておくことをオススメする。盗みに入る前にセーブしとくとかちょっとズルいけど自分としては許容範囲。オートセーブポイントはかなり少ないので、セーブを忘れているとやり直したくなっても結構前に戻されたりする。まあ相当後になってからじゃないと選択の結果がどうなるか分からないケースもあるので、そういう時は諦めよう。

(マックス難易度だとシミュレーションゲームの鉄人モードみたいなのがあって、セーブ&ロードが禁止されるという非常にシビアなモードもある)

戦闘のシビアさと戦略性

戦闘は昔のゲームだとタクティクスオウガとかFFタクティクスに近い。ターン制で位置を移動して近接、遠距離、魔法などを選択して戦う。高所の概念や明るさや地形効果などもあるし、その辺に落ちてるオブジェクトも大抵攻撃可能だし、即席攻撃というシステムで拾って投げたりできる。敵の死体をぶん投げることもできるし、高所から突き落とすこともできる。

普通に殴って魔法撃ってもちゃんと楽しいが、濡らして電撃かけるとダメージ2倍になったり、火薬に火炎ぶつけて爆発させたり、飲んだくれてるコボルトの零したアルコールに火を付けるとか、そういう楽しみ方が出来るので、戦略性もかなり高い戦闘が楽しめる。

敵の近くで隠れて、沈黙フィールド貼ってから暗殺したり、バフかけてから奇襲して有利に進めたりできる。逆に敵が待ち伏せしていて知覚判定に成功しないと、見えないとかもある。

一方で、そういうことに関するガイドは余り無いので、何が出来るかは多少攻略情報を参照した方がいいかもしれない。

この作品では、特に序盤の戦闘がきついのが挫折を生みがちなポイントである。ラノベゴブリンスレイヤーではないが序盤のゴブリン集落に何も考えずに突っ込むと、難易度ノーマルでも余裕で全滅するし1戦1戦で全力出さないと普通に死ぬぐらいの戦闘になる。特に数の暴力に負けるので、序盤から上手く状況をコントロールする必要に迫られるのだが、序盤なので何が出来るのか自分が分かってないという辛い状態が続く。

多分、ここで心折れる人が多少居ると思うのだが、ここを突破すると割と楽になるので、諦めるのは勿体ないなと思う。

これに関しては、諦めて難易度を一時的にイージーまで下げるというのもアリだと思う。自分は最初昨今のゲームの難易度だとハードぐらいがちょうどだろと舐めてかかったら、全然無理でノーマルに変更してギリギリみたいな感じだった。まあ、これもやり応えの裏返しみたいなものではある。

中盤移行はやれることが増えて、強力なバフも使える様になるので慣れてくると大分戦闘は楽になる。基本的に守るより攻めた方がいい。先手必勝でとにかく数を減らすか強敵をぶちのめすのが定石だと思う。

後、何回かやらかしてリトライした点として、盗みがバレて戦闘になったり、範囲魔法でNPC巻き添えにするとそのまま死んで取り返しが付かなくなったりするので、その辺りはちゃんと考えて戦う必要がある。

序盤に覚えておいた方がいいTips

戦闘に関わらず、このゲームはRTボタンのメニューからいつでもターン制モードに入れる。隠密行動で仲間を順番に移動させたり罠を解除するまで仲間を待たせたり、敵の視線を回避する時には必須なのだが、自分は最初これを知らなかったので、無駄に罠を踏んだりした。

また、戦闘中に仲間のターンが連続している場合、行動順は自由で行動完了前に切り替えたりできるので、先に移動して位置をズラしてから範囲攻撃とかも出来る。これも最初気付かなくても行動を無駄にしたりしていた。

クラス選択とレベル

キャラメイク時にクラスを選択するのだが、クラスの選択によって基本能力値が決まるシステムになっている。クラスの幅は結構広いのだが、このゲームは魔法がとにかく分かりにくい。使う魔法を習得魔法の中から「準備」して利用可能状態にしておかないと使えないクラスと、常に習得魔法全てが使えるがそもそも習得できる魔法数が少ないクラスとがあり、また魔法使用回数を回復する方法もかなり限られている。なので、使い所はある程度考える必要があるし、クラスによっては習得魔法を厳選しないと非常に辛いことになる。

この辺のシステムは、TRPGのD&Dの方のシステムをある程度踏襲した作りになってるのかなーというイメージ。魔法スロットや事前準備の概念はその辺から来てると思う。この辺りもゴブリンスレイヤーの術士のイメージが近い。(もちろんD&Dの方が元祖だが)

また、このゲームは最大レベルが12なので、1レベル上がるだけでめちゃくちゃ強さが変化する。特にLV5〜6ぐらいになるとかなりスキルが揃うので、大分便利になる。

クラス選択では基本クラスに加えて、レベルアップ時に別のクラスを取得してレベルを上げることができる。12LVの中でやりくりすることになるので、最終的にファイターLV9とローグLV3みたいなことになる。シナジーの大きい組み合わせもあるので、特化したスキルが覚えられなくなるが上手く組み合わせるとめちゃくちゃ強くなる。まあ強さを重視すると、ある程度お決まりのパターンはあると思う。投擲バーバリアン+ローグ(シーフ)とかモンク+ローグ(シーフ)とかめちゃくちゃ強かった。

そして、100ゴールドでリスペックするシステムがあってクラス変更とレベルの上げ直しが可能なので、かなり簡単にスキルの組替えが出来るので、中盤ぐらいからガンガン状況に合わせてクラスを変えたり、各クラスで出来ることを調べて自分なりのビルドを考えられる様になる。流石に、色々なクラスで何が出来る様になるのかを自分で全部調べるのはしんどかったので、クラス情報に関しては中盤辺りからめちゃくちゃ攻略情報を参照した。

後、主要な登場キャラのクラスチェンジも可能だが、主要キャラのシナリオとクラスが関連しているので、主要キャラのクラスをゴリゴリ変えるとちょっと世界観に影響が出るかもしれない。自分は基本クラスは変えない様にプレイしていた。

前述した様にクエスト展開の自由度の高さで、戦闘以外の技能や魔法が有効なケースもかなり多いので、戦闘特化以外のキャラ育成や万能タイプのキャラを作るのにもちゃんと意味があるのはとても良い点だったと思う。特に盗みと会話スキルはめちゃくちゃ利用頻度が高いし、動物と会話したり死体から情報を得る魔法もしばしば便利なので誰かが使える状態になっていると有用な情報やアイテムの場所が分かったりする。この世界の動物はかなり賢いので喋ると結構面白い。やたら哲学的な猫とか、100年ぐらい生きてそうな牛とかが居る。

世界観の理解の助けになるもの

正直、D&Dを今からがっつりプレイするのは、そういうコミュニティに居ないとかなりきついので、wikipediaでD&DのForgetton Realmという世界について調べて世界設定やゲームシステムやアラインメント(人格特性みたいなもの、所謂「秩序」か「混沌」か、「善」か「悪」かの概念)について調べておくと取っ付き易くなると思う。他には話に結構絡んでくる九層地獄の設定とか。

後、去年だか一昨年だかに公開されていたD&Dの映画は世界観がほぼ共通なので、プレイ前後で映画を見ると共通の語彙や人名が出てきて面白い。例えば映画に出てきたメインキャラのウィザードの祖先のエルミンスターという大魔導師の名前とかハーパーとかサーイ人がどんな奴らかとかは、ちゃんとゲーム中に出てくるし、ドルイドの能力とかも共通している。ゲームをやってから映画を見ると、かなりD&Dの要素を映画に詰め込んでることが分かって相乗的に楽しめた。

総評

簡単にバルダーズゲート3の良い点と取っ付き辛い点や分かりにくい点について書いてみたが、全体としてこのゲームは本当によくできていて、自分の中ではRPGというジャンルでは現状最高峰に位置するゲームだったと思う。特に序盤の辛さで心折れると非常に勿体ないなと思うので、頑張って乗り越えてプレイして欲しい。

ゲーム的な問題点として大きかったのはセーブ&ロードが遅い点。結構ロードしたくなるケースは多いしリトライしたいことも多いんだけど、ここでちょっと待つのでプレイ時間が伸びる。結構これで時間食ってると思う。スパイダーマン2の異常なファストトラベルの速さとかを体験した後だったので、これに関してはちょっとストレスがあった。

後は大抵が「自由度」とのトレードオフなので、冒頭にも書いたがそこを楽しめるかどうかが一番重要なポイントだと思う。自分としてはゲームというのは自分で操作しているから良いのであって、そこで自分なりの関わり方を選択できるこういう作品はゲームの醍醐味を十全に活かしていてとても良いと思う。

久しぶりに人に語りたくなるゲームだったので、珍しくこういうネタで記事を書いてみたが、気になった人は是非プレイしてみて欲しい。(実はOuter Wildsの時も語りたいことは一杯あったのだが、何書いてもネタバレになりそうで「とにかくやれ」としか言えなかったw)