3/10(土) は二つのイベントに参加してきました。
どっちも外したくなかったので、途中で抜けて
途中から参加するという強行スケジュールでしたが。
まずは、ベンチャーカフェさんのイベントについて。
正直、今まで参加したイベントの中でも、議論の熱さはトップクラスだったと思う。
現状が、いかに厳しいかということも実感させられる。
一方で、問題意識を持った同年代のエンジニアと
意見を交わすことのできる素晴らしい機会でもあった。
本当に、参加できて良かったと思う。
机について、某二名の同期以外で始めて、前職の方と勉強会で遭遇した。
何故か、いきなり転職して良かったかと聞かれたので、
良かったですねと即答。ですよねー、みたいな空気にw
前半は、ござ先輩、ひがさん、Zynga山岡さんをパネラーとして、
講義形式とパネルディスカッション。
後半は、ワールドカフェスタイルで参加者同士の議論という形でした。
前半で印象に残ったこと。
ござ先輩によるSI業界構造についての話は、
非常に分かりやすく、なぜ不幸なエンジニアを生むのかが、
端的に示されていて素晴らしい内容だったと思います。
SIerにいる人は是非読んでほしい。
VentureCafe_第2回:SIerでのキャリアパスを考える_ござ先輩発表資料 V1.0
しかし、企業も馬鹿じゃないので、
上流層・下流層ともに、新しいビジネスモデルを探そうと
模索しているという点については、若干疑問がある。
確かに探そうとはしているかもしれないし、
そういう時代であることは間違いないのだが、
正直、経営陣、意思決定層は逃げ切りにかかってるとしか思えないのだ。
前職に居た時の、今後の会社の展開についての偉い人の話など、基本的に実態が無い。
バズワードに踊らされてる感が凄い強かったし。
正直、企業規模的に後10年は潰れないだろうから、
彼らにそんな、現状を変革しようというインセンティブは無いだろうと思う。
逃げ切りを前提とした層が意思決定を握っているのが、
かなり致命的な問題では無いかと私は思っている。
ひがさんの話で、重要だと感じたのは、
SIerの上流・下流による分断と、企業活動として目指すところが、
エンジニアの成長を求めない構造になっている点に、
問題があるということでした。
上流と呼ばれるところは、新卒で入ってから、
ちょっとした技術研修の後、現場に配属され、
1年ちょっとはひたすら雑用。
それを過ぎてから、お客さんの所へ出ていって、
要望を聞いてまとめて、下請けに振る。
これをひたすら繰り返す。(提案活動とかもあるけど)
だから、そこで成長が止まるし、企業としても
それ以外のスキルを身に付けさせる理由は無い。
一方で、下流と呼ばれるところは、
上流から振られた仕事をもとに、人を用意して、
人月単価で仕事を受注する。
つまり、単価が決まっていて、実質的に時間労働になっている。
実際に構築を担当するとはいえ、エンジニア自身のスキルを向上させても
単価が上がるわけではない、成長のインセンティブにはならない。
つまり、どちらも自分自身を差別化するための
成長の機会を得ることは非常に難しい状態になっている。
[この1年間で自分の成長を実感しているか」というひがさんの言葉は
非常に厳しい部分を付いていると思う。
私自身は、ある意味で不良社員として仕事はそこそこに、
ひたすら自分が気になると思うことを勉強し続けて、
社外のイベントにも積極的に参加しようとしてきたので、
去年の自分と比べて少しは成長していると感じている。
自分のやってきたことは無意味では無かった、
そう感じることが出来て、少しホっとした。
一方で、周囲の人間はどうなんだろうか。
前職の皆は、成長を実感できているのだろうか。
どうやって動いていけばいいか、それが分かってなくて、
現状の閉塞感の中、ダラダラと仕事してるだけな人も多いんじゃないか。
Web業界や本当に自分達でシステム開発をすることを目的としている
企業では、SIerでの業務経歴は何の役にも立たない。
Zyngaの山岡さん曰く、如何に目に見えるアウトプットがあるか、
ということが重要になってくる。
自分が、何ができて、何を学んできたか、
それを見える形で示さなければならない。
githubでコードを公開したり、イベントで発表したり、
ブログに学んだ技術に関する記事を書いたり。
自分がどう見られたいかを考慮して、
そのためにこういう活動をしてきた、
こう言える人はそう多くないとのこと。
正直、大手SIerというところに居て仕事をしていて、
私が身に付いたことというのは、その会社で仕事の段取りをするために
特化したビジネススキルでしかない。
このシステムについて知ってるのは誰か、
社内の承認のフロー、どんな書類が必要か、
部署間の力関係、どうやって責任を負わないようにするか、
大体こんなところだ。
仕事をする上で必要無いとは言わんが、
知識のベースをつけるべき数年をこんなことのために費やして、
エンジニアとしてやっていけるのか、甚だ疑問だった。
これで、他の会社で技術者として食っていけるんだろうかと。
後半 ワールドカフェ
テーマはSIerに努めていて、良かったこと悪かったこと。
で、また良かったことが出てこないw
本当に出てこないw
これは病んでるなあ、ということを実感。
皆、現状如何に問題を感じているか、
不満を感じているかということが表われる内容になった。
私の印象に残ったのは以下のことについて。
- マネージャーに向かうしかないキャリアパス
- エンジニアとしての成果、技量を評価できない
- スキル向上と会社の利益が、全く噛み合っていない
- 自分でものを作れない不安感
- 受託と人月が短期的な利益偏重を生む
- 手がけた仕事の世代間格差
SI業界は、大企業病、ピラミッド構造、受託と人月モデル、
これらの要素が生みだす問題を全て抱えてしまっている。
私が居たテーブルではそういう形でまとまった。
色んな構造が複雑に絡みあい、今の病んだ状況を
生みだしているのではないか。
それを解消していくことなんて可能なんだろうか。
私自身が、ITゼネコンに居て、最も辛かったのは、
正しい仕事をしている実感が無かったことだ。
価値を提供している自覚が全く無い、
仕事の全体像も見えないのに、
給料だけかなり高い。
この罪悪感に耐えられなかった。
この仕事で身に付くものの価値も信じられなかった。
要はエンジニアとして「幸せじゃなかった」。
だから、辞めたと言ってもいい。
あの場に居た人の多くは、そういう疑問、不安を持っていて、
今の業界の問題というものを強く意識した人達だったと思う。
そういうエンジニアが世の中の大半を占める、
そんな世界であれば、未来もそう暗いものにはならないと思う。
そんなエンジニアばかりだったら、私は辞めてなかったかもしれない。
そういえば、この記事を読んで、
私の前に質問していた方が、小野和俊さんだったと知った。
しばしばブログを読ませていただいているので、
挨拶しておけば良かったなあと、ちょっと残念。